干上がったイラン中部イスファハンのザーヤンデ川(撮影:飯島健太)(C)朝日新聞社

 

ガソリンより高価な水

 日本でガソリン価格が高騰しているという報道を見ていると、世界的な産油国であるイランで暮らす「恩恵」を改めて感じる。政府による手厚い補助のおかげで、月間60リットルまで1リットル6円(実勢レート)の割引価格で給油できる。それを超えると通常価格になるが、それでも2倍の12円で済む。

 近所のスーパーで売っている1.5リットル入りミネラルウォーターは1リットルあたり16円なので、水は割引価格のガソリンの2.6倍である。

 ただ、イラン国民としては、2019年11月に値上げされたいまのガソリン価格は高いと感じるようだ。「自分たちの足元から出てくる石油なのだから、国民が格安で使えるのは当然だ」という認識が一般的だろう。

 2019年末の推計値を見ると、イランの原油確認埋蔵量は世界4位の1500億バレル、天然ガスの確認埋蔵量はロシアに次ぐ世界2位である。これらの天然資源がすぐに枯渇する心配はなく、環境問題を別にすれば、短期・中期的に生活を脅かすことはない。

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