軍事訓練に参加するウクライナ市民(筆者撮影)

 

 ロシアのウラジーミル・プーチン政権がウクライナ国境付近に10万人超の軍部隊を集結させ、大規模な侵攻に乗り出す懸念が高まっている。緊迫する情勢をウクライナ市民はどう受け止めているのか。

民間志願者が参加する軍事訓練

 小雪が舞う気温零下の土曜日の朝、首都キエフ(キーウ)郊外の発電所跡地で「地域防衛軍」の第130キーウ大隊が軍事訓練を行っていた。

 約80人の民間志願者が自前の迷彩軍服に身を包み、銃を模った木やモデルガンを手に、インフラ施設の防衛を想定した演習に取り組んだ。教官の作戦指示を受け、木片や廃タイヤなどを集めてバリケードと検問所を築き、見張りの任務に就く。

 初心者のグループは銃の構え方などの基本動作の指導を受けていた。二人一組となり、声を掛け合いながら前進する。

「進みます」

「援護します」

 そこへ教官の声が響く。

「もっと腰を下げて。脇も締めて」

 年初に発効した国家レジスタンス法によれば、ロシア軍の侵攻時には、民間人から成るこうした地域防衛軍を25万の正規軍の支援部隊として動員する。全国25地域で18歳から60歳の男女の志願者を募って隊員を13万人に増やし、前線の支援、インフラ防衛や治安維持に当たらせるという。現地メディアによれば、この1カ月で1万~1万5000人が登録した。

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