核禁条約への不参加に抗議するドイツの反核団体(C)AFP=時事

 

国民の支持を集めるオブザーバー参加

 ドイツのオーラフ・ショルツ首相による社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の3党連立交渉で、核共有離脱問題と並んで注目されたのが、核兵器禁止条約へのオブザーバー参加問題である。

 2021年9月の総選挙での選挙綱領では、SPDと緑の党がそれぞれ核禁条約に言及していた。FDPの綱領にも「核なき世界」の長期目標が言及されており、3党ともに方向性は一致していると見られていた。

 核禁条約は、第1条(g)で、核兵器の配置、設置、展開も禁じているため、現在アメリカの核兵器を自国領内に保管しているドイツとしては、現状で加盟国になる可能性はない。また、アメリカがこの条約に好意的ではないため、日本を始め多くの非核兵器国は、この条約から距離を置いていた。

 ドイツが領内の米軍核兵器の撤去を求めれば、それは核兵器禁止条約へ一歩近づくことを意味しており、その点でもこの2つの問題は連関している。

 結果的には連立協定では、まずストックホルム・イニシアチブやNPT(核兵器不拡散条約)再検証会議、新START(新戦略兵器削減条約)やその他の核軍縮交渉の重要性、中国をこれらの交渉に結び付けていくことの重要性を強調。そのうえで、核禁条約へのオブザーバー参加については、「NPT再検証会議の結果に照らし合わせ、また同盟国との緊密な協議の上、締約国会合にオブザーバーとして(加盟国ではない)、条約の意図に建設的に寄り添う」とされている。

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