独「ショルツ新政権」の核政策(2)
核禁条約オブザーバー参加は実現するのか?

執筆者:岩間陽子 2022年2月10日
エリア: ヨーロッパ
核禁条約への不参加に抗議するドイツの反核団体(C)AFP=時事
ドイツのショルツ新政権は核兵器禁止条約へのオブザーバー参加に前向きな姿勢を見せている。アメリカとの新たな火種になりかねないが、そもそも左派政権は核抑止をそれほど重視していないという。日本にも無縁ではないこの問題を、岩間陽子・政策研究大学院大学教授が考察する。

 

国民の支持を集めるオブザーバー参加

 ドイツのオーラフ・ショルツ首相による社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の3党連立交渉で、核共有離脱問題と並んで注目されたのが、核兵器禁止条約へのオブザーバー参加問題である。

 2021年9月の総選挙での選挙綱領では、SPDと緑の党がそれぞれ核禁条約に言及していた。FDPの綱領にも「核なき世界」の長期目標が言及されており、3党ともに方向性は一致していると見られていた。

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
岩間陽子(いわまようこ) 政策研究大学院大学教授。京都大学法学部卒業、同大学院法学研究科博士課程修了。京都大学博士。京都大学助手、在ドイツ日本大使館専門調査員などを経て、2000年から政策研究大学院大学助教授。同大学准教授を経て、2009年より教授。専門はドイツを中心としたヨーロッパの政治外交史、安全保障、国際政治学。著書に『核の一九六八年体制と西ドイツ:』、『ドイツ再軍備』、『ヨーロッパ国際関係史』(共著)、『冷戦後のNATO』(共著)、『核共有の現実―NATOの経験と日本』、Joining the Non-Proliferation Treaty: Deterrence, Non-Proliferation and the American Alliance, (John Baylisと共編著、2018)などがある。安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会、法制審議会、内閣府国際政治経済懇談会など、多くの政府委員会等のメンバーも務める他、(財)平和・安全保障研究所研究委員、日経Think!エキスパート、毎日新聞書評欄「今週の本棚」・毎日新聞政治プレミア執筆者も務める。
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