寄る年波か、はたまた血液循環の滞りのせいか。最近、手の指先に小さな不具合が生じるようになった。
一つはバネ指。これはたぶんゴルフのせいだ。グリップ(握り方)を変えて以来、この現象が起こるようになった。クラブを強く握りすぎて関節がずれたのかもしれない。症状としては、両手をギュッと握り、続いて開こうとすると、左薬指の第二関節だけが握ったかたちのまま動かなくなる。しばし待つと、まさにバネのようにコキンというかすかな音とともに遅れてまっすぐ伸びる。痛みをともなうわけではないし生活に支障をきたすこともないので放ってあるが、ことに朝、起きがけなどにこの症状の現れることが多い。そういうときは、幼稚園時代を思い起こし、「むすんでひらいて」を歌いながらグーパーグーパーしていると、まもなく元通り動くようになる。
バネ指症状が出始めてしばらくのち、今度は同じ左手の人差し指に突然、痛みが走った。どうも指先が少し内側にカーブしている気がする。こちらは第一関節あたりの症状だ。カーブした箇所の節を横から押すと、これまたコキンと小さな音を発してもとに戻るから、たいしたことはないと思うが、ときおり激しく痛むこともある。たかが手の人差し指の先っぽの支障なのに、鍋の取っ手を持ったり抽斗を開けようとしたりするたびに、「イテテ、イテテ」という情けない有り様になる。
マッサージの先生に相談をした。
「指先が老化現象を起こしているみたい……」
すると先生、間髪容れることなく、
「あ、それはコラーゲンが不足しているせいですね」
いわく、コラーゲンは体内の骨や皮や関節のまわりについていて、動きをなめらかにする作用がある。歳を重ねるにつれてコラーゲンは減少していくので、身体のあちこちがギクシャクし始めるとのこと。ざっくりとした説明ではあったが、深く納得した。
そうか。コラーゲンですか。コラーゲンをたくさん摂ればいいんですね!
そう決めた心の裏側で、さる科学者の言葉が蘇った。
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