なめらかの源

執筆者:阿川佐和子2025年8月11日
フカヒレの姿煮は自分へのご褒美だ(写真はイメージです)

 寄る年波か、はたまた血液循環の滞りのせいか。最近、手の指先に小さな不具合が生じるようになった。

 一つはバネ指。これはたぶんゴルフのせいだ。グリップ(握り方)を変えて以来、この現象が起こるようになった。クラブを強く握りすぎて関節がずれたのかもしれない。症状としては、両手をギュッと握り、続いて開こうとすると、左薬指の第二関節だけが握ったかたちのまま動かなくなる。しばし待つと、まさにバネのようにコキンというかすかな音とともに遅れてまっすぐ伸びる。痛みをともなうわけではないし生活に支障をきたすこともないので放ってあるが、ことに朝、起きがけなどにこの症状の現れることが多い。そういうときは、幼稚園時代を思い起こし、「むすんでひらいて」を歌いながらグーパーグーパーしていると、まもなく元通り動くようになる。

 バネ指症状が出始めてしばらくのち、今度は同じ左手の人差し指に突然、痛みが走った。どうも指先が少し内側にカーブしている気がする。こちらは第一関節あたりの症状だ。カーブした箇所の節を横から押すと、これまたコキンと小さな音を発してもとに戻るから、たいしたことはないと思うが、ときおり激しく痛むこともある。たかが手の人差し指の先っぽの支障なのに、鍋の取っ手を持ったり抽斗を開けようとしたりするたびに、「イテテ、イテテ」という情けない有り様になる。

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