3人のDNAを使った体外受精で遺伝性疾患を回避

2025年8月11日
タグ: 健康
(C)REUTERS/National Human Genome Research Institute/Handout
3人の親の遺伝物質を使う新たな体外受精技術により、英国で8人の子供が生まれた。この技術は、2015年に世界で初めて英国で合法化された。匿名のドナーから提供された健常な卵子へ、母親の受精卵の核と父親の精子由来の核を移植する。子どもがミトコンドリア疾患を発症するリスクのある22人の女性の体外受精で試験的に採用された。

[ロイター]この手法により、母親のミトコンドリアの遺伝子変異が子どもに受け継がれることを防げる。ミトコンドリアは細胞のエネルギーを生み出す小器官であり、ミトコンドリアのDNAに異常があると、不治の病気や早期に死に至る疾患が遺伝するリスクがある。ミトコンドリアDNAの変異は様々な臓器に影響を及ぼすが、大量のエネルギーを必要とする脳、肝臓、心臓、筋肉、腎臓といった臓器は特に影響を受けやすい。

 研究は英ニューカッスル大学のチームが7月16日に学術誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に発表した。論文によると、8人の子どものうち1人は2歳になり、2人は1~2歳、残り5人は乳児である。いずれも重篤な遺伝性疾患はなく、血液検査ではミトコンドリアDNAの変異が確認されなかったか、ごく低い水準にとどまっていた。全員が問題なく成長している。

カテゴリ: 医療・サイエンス
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