(C)REUTERS/National Human Genome Research Institute/Handout

[ロイター]この手法により、母親のミトコンドリアの遺伝子変異が子どもに受け継がれることを防げる。ミトコンドリアは細胞のエネルギーを生み出す小器官であり、ミトコンドリアのDNAに異常があると、不治の病気や早期に死に至る疾患が遺伝するリスクがある。ミトコンドリアDNAの変異は様々な臓器に影響を及ぼすが、大量のエネルギーを必要とする脳、肝臓、心臓、筋肉、腎臓といった臓器は特に影響を受けやすい。

 研究は英ニューカッスル大学のチームが7月16日に学術誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に発表した。論文によると、8人の子どものうち1人は2歳になり、2人は1~2歳、残り5人は乳児である。いずれも重篤な遺伝性疾患はなく、血液検査ではミトコンドリアDNAの変異が確認されなかったか、ごく低い水準にとどまっていた。全員が問題なく成長している。

 この結果は科学的・技術的な課題だけでなく、倫理的な側面や、患者や一般社会の理解、法整備、規制の策定と運用、母親と子どもへの長期的ケア体制の整備といった面で、何十年にもわたる検討と努力の集大成であると英オックスフォード大学の生殖医療専門医アンディ・グリーンフィールド氏は述べた。なお、グリーンフィールド氏は研究に携わっていない。

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