バリューアクト・キャピタルの提議は、事実上、井阪隆一社長の「不信任」だ(写真は2019年4月) ⓒ時事

 グループ売上高、連結決算の利益で共に日本最大の流通グループ、セブン&アイ・ホールディングス(HD)に、今ふさわしい言葉は「内憂外患」に違いない。

 昨年秋にグループ内に激震が走った、ラストワンマイル戦略の構築を急いだDX(デジタルトランスフォーメーション)部門の大混乱が内憂。外患はアクティビスト(モノ言う株主)から、不採算事業の切り離しなどを突きつけられていること。

 対応を誤ればガバナンス(企業統治)欠如の烙印を押されかねず、井阪隆一セブン&アイHD社長(64)の立場も微妙になる。

ヨーカ堂ほか「要スピンオフ」の烙印、続々――

 まずは、「外患」から説明しよう。

「これで納得するとは思えないが」。小売業を担当する証券アナリストが首をかしげた。セブン&アイHDの株式4.4%を保有する米投資会社バリューアクト・キャピタル(VAC)が1月下旬、事業運営が非効率的だと指摘し、コンビニ事業への集中など「大胆な構造改革」を求める公開書簡を送付した。同書簡は社外取締役で構成する「戦略検討委員会」を設置し、経営計画の代替案を提出することも求めていた

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