G7が強調して強力な金融制裁をロシアに科す――これは「ドル覇権」を巡る戦争でもある(写真は2月24日に行われたG7オンライン首脳会合)(C)時事

 ウクライナ戦争で注目すべきなのは、国際金融秩序の行方である。

 米国が中心になって発動した対ロシア金融制裁は、ドルの威力を探る実験場だ。ロシア大手銀行を軒並み欧米の国際金融市場から締め出し、国際銀行間通信協会(SWIFT)からも排除する。加えてロシア中央銀行に外貨準備を使わせないという大規模な金融制裁が、世界で12番目という経済大国に科されるのは初めてだ。

 この制裁はウクライナの戦況にも影響を及ぼしそうだ。銃後のロシア国民の不満が高まるし、なにしろ戦費を賄えなくなる。しかもウラジーミル・プーチン政権が続く限りは、このかつてない強力な金融の締め付けが続くことになりそうだ。それに中露はどこまで耐えるのか。ウクライナの戦場を超えて基軸通貨ドルをめぐる世界覇権のバトルこそ世界は注視すべきだ。

体制交代まで続く金融制裁

 金融制裁の目的は侵攻を始めた政権を懲罰し、その経済をマヒさせ続けることだ。その意味で、軍事力を使わないながらも極めて攻撃的でしつこく長期的なプロセスが始まったことを意味する。

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