岸田首相は「外務省は言い訳ばかりだ」と漏らしたという(森健良・外務事務次官)(C)時事

 外務省人事に“異変”が起きる可能性が出てきた。森健良次官(61歳/1983年入省)の早期更迭が囁かれる一方で、次期次官の本命と目されてきた政務担当の山田重夫外務審議官(57/86 年入省)にも、その資質を問う声が高まっている。

 森次官をめぐる不穏な見立ての背景には、外務省に対する首相官邸の不信感が日増しに高まっている事情がある。

 岸田文雄首相がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話で会談した2月17日の翌々日。首相側近は親しい議員に「外務省は言い訳ばかりだ」と漏らしたという。緊迫するウクライナ情勢を受け、首相サイドが日ロ首脳会談を設定するよう指示したが、外務省は言を左右して調整がつかない状態が続いたからだ。

「日本はウクライナ情勢の直接の当事者ではない」「無理に首脳会談を依頼すれば、ロシア側の要求ものまなければならない」……。会談に消極的な意見を述べる外務省幹部に対し、最後は首相本人が「とにかく設定してくれ」と強く指示した。慌てた外務省は、ロシア側が求めていた閣僚級の「貿易経済に関する日露政府間委員会共同議長間会合」を15日に開催。ようやく17日になって首脳会談が実現した。

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