「戦狼外交」のチャンピオン、趙立堅外交部副報道官の発言が穏当になってきている背景は――   (C)時事

「内政の延長」化が進む世界の外交

   ウクライナ問題の帰趨は、リベラル・デモクラシーが作りだした第二次世界大戦後の世界秩序の運命を決める。より多くの人が、こう感じ始めている。それほど深刻な国際ルールの侵犯であり、それを国連安全保障委員会の常任理事国がやったのだ。世界の外交はますます内政の延長、いや内政そのものになってきた。

   今回のロシアのウクライナ侵攻は、権力集中を強めたウラジーミル・プーチン大統領が、個人的野心、つまり偉大なロシアの復権という願望に突き動かされた結果だ。個人に権力が集中し、政権が長期化した場合の弊害を如実に表している。

   中国は、ロシアとの関係強化に動いてきた。中国外交も、過剰な忖度という傾向はあるが、習近平主席の意向通りに進められていると見て良い。習近平の立場に立って、その目線から眺めることで、中国のウクライナ問題への見方が浮かび上がってくる。政治指導者は、長期戦略に基づき機械のように対応しているわけではない。長期戦略を意識しつつも、そのときどきの情勢や雰囲気に影響されて動いているのが実態だ。習近平はプーチンと違い、内政を特に重視せざるを得ない。今秋の党大会を控え、ますます国内の反応を計算に入れて対外政策を決めなければならない状況にあるのだ。

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