ウクライナ侵攻で習近平が懸念する「プーチン支持の内政的リスク」

執筆者:宮本雄二 2022年3月4日
エリア: アジア
「戦狼外交」のチャンピオン、趙立堅外交部副報道官の発言が穏当になってきている背景は――   (C)時事
「戦狼外交」だけでは国民に具体的成果を見せられず、中国の外交は微妙な方向転換を図っている。確かに「ロシアとの良好な関係」は有効なカードであり得るが、そのロシアに国内外の批判が高まれば、逆に「習近平の判断」自体の問題視にも繋がるのだ。

「内政の延長」化が進む世界の外交

   ウクライナ問題の帰趨は、リベラル・デモクラシーが作りだした第二次世界大戦後の世界秩序の運命を決める。より多くの人が、こう感じ始めている。それほど深刻な国際ルールの侵犯であり、それを国連安全保障委員会の常任理事国がやったのだ。世界の外交はますます内政の延長、いや内政そのものになってきた。

   今回のロシアのウクライナ侵攻は、権力集中を強めたウラジーミル・プーチン大統領が、個人的野心、つまり偉大なロシアの復権という願望に突き動かされた結果だ。個人に権力が集中し、政権が長期化した場合の弊害を如実に表している。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
宮本雄二 みやもと・ゆうじ 宮本アジア研究所代表、元駐中国特命全権大使。1946年福岡県生まれ。69年京都大学法学部卒業後、外務省入省。78年国際連合日本政府代表部一等書記官、81年在中華人民共和国日本国大使館一等書記官、83年欧亜局ソヴィエト連邦課首席事務官、85年国際連合局軍縮課長、87年大臣官房外務大臣秘書官。89 年情報調査局企画課長、90年アジア局中国課長、91年英国国際戦略問題研究所(IISS)研究員、92年外務省研修所副所長、94年在アトランタ日本国総領事館総領事。97年在中華人民共和国日本国大使館特命全権公使、2001年軍備管理・科学審議官(大使)、02年在ミャンマー連邦日本国大使館特命全権大使、04年特命全権大使(沖縄担当)、2006年在中華人民共和国日本国大使館特命全権大使。2010年退官。現在、宮本アジア研究所代表、日中友好会館副会長、日本日中関係学会会長。著書に『これから、中国とどう付き合うか』『激変ミャンマーを読み解く』『習近平の中国』『強硬外交を反省する中国』『日中の失敗の本質 新時代の中国との付き合い方』などがある。
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