「わが国には無かったり遅れていたり、自力開発に膨大な時間と費用を要する新技術を、ロシアから積極的に導入する方向が固まりました」と中国筋は明言した。ここ三年ほど、中国がロシア製戦闘機のコピー機を輸出するなどしてロシアを怒らせ、停滞していた中露の軍事技術・兵器交流が再び加速するという。原油など資源価格の下落でロシアの懐が寂しくなったタイミングをとらえ中国が資金提供を持ち掛けた格好だ。中国は、ロシアからのコピー批判に対し「今後は厳しく管理する」と伝え、対するロシアは供与可能な兵器や軍事技術の“売り物リスト”を次々と提示しているという。 中国が注目するロシアの軍事技術は多い。たとえばミサイル関連。圧縮空気やガスなどで射出した後に空中で点火する「冷発射(コールド・ローンチ)」技術は、発射台・筒をすぐに再利用できるためコスト低減や効率化につながる。ロシアは中型ミサイルにも使える最新大型の冷発射技術をリストに入れた。 また、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に関しても、中国は一九八〇年代に「夏級」原潜を就役させたが、技術は米露に比べ二―三世代は遅れており、近年ようやく弾道ミサイル十―十二基を搭載できる「晋級」原潜を実戦配備したばかり。同筋によると、中国は海洋ミサイル戦力を補うため、ロシアの提案・協力を受け海中に固定式の発射基地を設ける計画を固め、海軍北海艦隊の司令部がある山東省青島沖の黄海や、山東半島と遼東半島に囲まれた渤海などで設置ポイントを調整している。

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