「共同体意識の強化」が裏目に出ないとも限らない(C)時事

 

 ロシア軍のウクライナ侵攻に世界の耳目が注がれていたからだろう。3月5日から11日にかけて北京で開催されていた今年の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)に対する内外メデイアの関心は例年に較べ低く、関連報道も断片的に過ぎたようだ。

 だが、今秋の第20回共産党全国代表大会で政権3期目続投が“既定の路線”とされている習近平政権の今後――とりもなおさず近未来の中国の在りようのみならず、我が国はもちろん、これからの世界の動きを左右する――を考える上で、今年の全人代は例年にもまして重要であることは、敢えて強調するまでもないだろう。

中華民族の共同体意識の強化

 3月5日、全人代で昨年と同じく内モンゴル自治区代表団分科会に出席した習近平国家主席は「中華民族の共同体意識の強化」を指示し、李克強首相は政府活動報告で今年の重要政策として漢族と少数民族との融和を強く打ち出した。

 つまり欧米諸国からの強い批判にもかかわらず、習政権は少数民族に対する同化策を一層加速させる方向を内外に向けて、敢えて明らかにしたと考えられる。

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