キエフ近郊で破壊されたロシア軍の戦車(ウクライナ軍提供)(C)AFP=時事

 

表面化したロシア軍の問題

 侵攻開始から1カ月が経過した3月24日時点で、ロシア軍地上部隊による進撃はすべての戦域で鈍化し、一部では防御陣地の構築を行っていると伝えられている。攻勢中であっても、一時的な進撃停止の際には敵の反撃に備えて陣地を構築するのが常だが、通常は攻勢作戦の設定期間は2~3週間程度で、それ以上の作戦を行う場合には部隊の再編制や補充・補給・休養が必要となる。

 したがって、ロシア側の侵攻作戦の第1段階は、本来見込んでいた目標を達成できずに終わり、第2段階に向けた立て直しと準備期間に入ったと考えるのが妥当だろう。

 ウクライナを短期間の間に打倒するという目論見が失敗した最大の理由がウクライナ軍と市民の頑強な抵抗にあることは間違いないが、その結果、ロシア軍自身が抱える問題が表面化し、日増しに深刻化している。

 具体的には以下の点が指摘できよう。

絶対的な兵力の不足

冗長性に乏しく、実態に即した修正が困難な作戦計画

統一性を欠き非効率な指揮命令系統

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