ロシア連邦保安局のボルトニコフ長官(前列左)や対外情報局のナルイシキン長官(同右から2人目)と共に、治安機関関係者の式典に臨むプーチン大統領=撮影2019年12月(C)EPA=時事

 

 ロシアによるウクライナ侵攻へのNATO(北大西洋条約機構)の参戦は依然としてハードルが高いが、「諜報戦」における米国の支援はかなりの効果を上げているようだ。

 外交関係者によると、米国がウクライナ国内に送り込んだ機関員は軍事情報提供などでヴォロディミル・ゼレンスキー大統領を手堅くサポートし、同氏暗殺を狙うロシアの特殊部隊をかわすなど反転攻勢を下支えしてきた。もちろんロシア側も情報機関によるウクライナ国内での情報収集や、同国政府、市民、軍などへの工作活動を行なっているが、こちらは「思ったほど成果を上げておらず、ロシアの情報機関員の機動力が落ちているのかもしれない」と、この外交関係者は見立てている。

 証言を総合すれば、米国によるロシア国内での情報活動は、ロシア政府内でのウラジーミル・プーチン大統領の動静を一定程度、押さえている模様だ。核兵器使用についても、「ロシア政府で核ミサイル発射の判断に直接関与できる人物はプーチン氏を含め数人程度。米国はそれらの人物の意向を把握することにある程度成功しており、冷静な分析につながっている」(国際関係筋)。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。