バイデン米大統領のワルシャワ演説での“アドリブ”は、どのような国際情勢認識の文脈から飛び出したか(3月26日) (C)AFP=時事

「グローバリゼーションの終止符」を語ったラリー・フィンク

 10兆ドルあまりのマネーを運用する米国の資産運用会社、ブラックロックはグローバル化の申し子というべき存在である。そのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は3月24日、投資家への手紙で「グローバリゼーションの終止符」に言及した。引き金となったのはいうまでもなく2月24日のロシアによるウクライナ侵攻である。

 ブラックロックの創業は34年前の1988年。翌89年にはベルリンの壁が崩壊し、90年には東西両ドイツが統一され、91年にはソ連共産党体制が終焉の時を迎えた。米ソ冷戦終結による「平和の配当」やグローバリゼーションの追い風を受けて、同社は急成長してきたが、海の色が変わったとの認識を示したのである。

 ロシアのウクライナ侵攻から1カ月あまりたった3月26日、米国のジョー・バイデン大統領はポーランドの首都ワルシャワで演説した。この演説は「この男が権力の座にとどまり続けてはいけない」の部分が切り取られ、プーチン体制の転換を目指すものとの指摘が目立った。草稿にはないこのアドリブは、ロシアとの話し合いの糸口を失う、との批判だ。果たしてそうか。

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