ソフトバンクG株の荒い値動きは市場の迷いを示している(2月8日に開かれた決算説明会での孫正義氏)  (C)時事

 ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)の孫正義会長兼社長は2月8日、傘下の英半導体設計子会社「アーム」を米半導体メーカー「エヌビディア」へ売却する計画の断念と、同社の2022年度中の上場方針を公表した。孫氏はこの記者会見で、「半導体業界史上、最大の上場を目指す」とぶちあげた。

   それから1カ月余り過ぎた3月26日、ソフトバンクGが未上場のアーム株を担保に金融機関から約1兆円を調達すると日本経済新聞が伝えると、週明け28日のソフトバンクG株は続落した。3月15日に年初来安値4210円をつけたものの、株式市場の回復に伴い4月5日に年初来高値の5984円をつけるなど、値動きは荒い。それは投資家と資本家の狭間で揺れる孫氏の姿、市場の評価の迷いと重なる。

アームは孫氏の夢の基盤のはずだった

   そもそもアームは、孫氏が16年7月18日に約240億ポンド(当時約310億ドル、約3兆3000億円)で買収を発表した虎の子とも言える存在だ。買収時直近の終値、1株1189ペンスに約43%のプレミアムをつけた1700ペンスで合意を取り付けた、日本企業による海外での企業買収として過去最大規模の案件だった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。