消えてゆく孫正義氏と“ハゲタカ”との境界線――ソフトバンク「300年成長神話」の危急存亡(1)

[連続企画]

執筆者:後藤逸郎 2022年4月11日
ソフトバンクG株の荒い値動きは市場の迷いを示している(2月8日に開かれた決算説明会での孫正義氏)  (C)時事
孫正義氏は企業を育てる資本家なのか、あるいは売却益が目的の投資家なのか。買収時の時価で3兆3000億円を投じた「アーム」の売却をめぐる迷走は、ソフトバンクグループが「孫氏の夢」と利益確保の狭間で、絶えず揺れ動いていることを示している。コロナ禍、アリババを追い詰めた中国のテック規制、金利上昇による資金調達環境の悪化など厳しい逆風に晒されながら、「300年成長し続ける企業グループ」を率いる孫氏の野望が向かう先を連続企画で捉えて行く。

 ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)の孫正義会長兼社長は2月8日、傘下の英半導体設計子会社「アーム」を米半導体メーカー「エヌビディア」へ売却する計画の断念と、同社の2022年度中の上場方針を公表した。孫氏はこの記者会見で、「半導体業界史上、最大の上場を目指す」とぶちあげた。

   それから1カ月余り過ぎた3月26日、ソフトバンクGが未上場のアーム株を担保に金融機関から約1兆円を調達すると日本経済新聞が伝えると、週明け28日のソフトバンクG株は続落した。3月15日に年初来安値4210円をつけたものの、株式市場の回復に伴い4月5日に年初来高値の5984円をつけるなど、値動きは荒い。それは投資家と資本家の狭間で揺れる孫氏の姿、市場の評価の迷いと重なる。

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カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
後藤逸郎 1965年富山県生まれ。ジャーナリスト。金沢大学法学部卒業後、1990年毎日新聞社入社。姫路支局、和歌山支局、大阪本社経済部、東京本社経済部、大阪本社経済部次長、週刊エコノミスト編集次長、特別報道グループ編集委員、地方部エリア編集委員などを経てフリーランスに。著書に『オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側』『亡国の東京オリンピック』がある。
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