SBGが2月7日発表した2022年10〜12月期決算は、純損失が7834億円の赤字に転落した。6〜9月期決算は黒字だったものの、これは虎の子の中国EC大手アリババ・グループ・ホールディング株の売却益によるもので、投資ファンド事業は4四半期連続の赤字となった。保有するユニコーン企業など未公開株の公正価値がマイナスとなっており、本業で稼げない状態が続いている。
依然として続く経営への「低評価」
SBGの孫正義会長兼社長は22年8月8日、同年4〜6月期決算のプレゼンテーションでSBGが「冬の時代」に入ったとの認識を踏まえ、「冬の期間がどのくらい続くのかは分からない。上場株も冬の時代だが、ユニコーン企業の冬の時代の方が長く続くだろう」と“予言”した。
その後のSBGの決算は孫氏の予言通りになっている。SBGが経営の重要指標と位置づける時価純資産(保有資産価値から純有利子負債を差し引いた値=ネット・アセット・バリュー=NAV)は22年6月末で18兆5000億円、純有利子負債が保有株式価値に占める割合を示す負債カバー率(LTV)は同14.5%だった。その数値は22年12月末に13兆9000億円(NAV)、18.2%(LTV)に悪化している。
2月7日時点の時価総額は約10兆8000億円で、NAVよりも3兆円低かった。これはSBGの保有株を個別に買うよりも、SBG本体を買った方が安いことを意味している。投資家がSBGの経営を低く評価することによる「ディスカウント」だとして、孫氏が嘆いてきた現象だ。21年9月末に約8兆円あった「ディスカウント」からは改善しているように見えなくもないが、これはアリババ株を手放すなどして、NAVの方が下がったことによる。
為替変動というリスク要因
SBGはNAVの減少理由として、円高による為替差損が1兆5000億円、株価下落が4000億円、自社株買いが5000億円などを挙げる。
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