女性政治家の活躍を押すもの、阻むもの(下)

執筆者:三牧聖子2022年4月24日
連邦最高裁判事就任が決まったケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事(左)とカマラ・ハリス副大統領(中)――バイデン(右)「多様性」政権のシンボルだったはずだが (C)EPA=時事
 

*『女性政治家の活躍を押すもの、阻むもの』(上)はこちらからお読みいただけます。

「#Me Too運動」と「MeToo運動」

三牧聖子:一般的に知られている#Me Too運動は、2017年にハリウッド女優のアリッサ・ミラノがSNSで「もしあなたも過去に性的暴力を受けたことがあって言えないのなら、一緒に分かち合いましょう。Me Tooと言って」と発言したことで爆発的に広まったのが最初です。ハリウッドの大物プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインが、自分の権力を使って多くの女優たちに性的暴行を働いていたことが明るみになった。 

 ハリウッド女優たちのイニシアティブは素晴らしかったと思います。でも、アメリカ社会、さらには世界で性的暴行を受けているのは、彼女たちのように知名度や財力のある人たちばかりではない。女性のマイノリティや男性にも被害者はたくさんいます。

 にもかかわらずハリウッド女優が#Me Too運動の中心になることで、もっと抑圧され声すら上げられない被害者たちがかえって見えなくなってしまうという面がありました。

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