次期首相に内定したローレンス・ウォン財務相(C)AFP=時事
 

 

 

ついに内定した次期首相

 2022年4月14日、シンガポールのリー・シェンロン首相は、フェイスブック上で重要な投稿を行った。それは自身の後継者選出が、決着したことを告げる内容であった。次期首相に内定したのは、官僚出身で49歳のローレンス・ウォン(黄循財)財務相であった。

 次期首相の選出は、数年間にわたり迷走を続けてきた。これは、「建国の父」リー・クアンユーの「第1世代」、2代首相ゴー・チョクトンの「第2世代」、現首相リー・シェンロンの「第3世代」に続く「第4世代」(4G)と呼ばれる次期政治指導層のエリート集団にとって、リー・クアンユーあるいはリー家という建国以来の暗黙の支柱がない、前例なき将来に向けた自らのリーダーを選ぶことが、非常に困難な課題であったことを象徴していた。

 しかも2021年4月には、一度は後継者に内定していたはずのヘン・スイーキア副首相が、その地位を辞退すると発表したことで、シンガポールの政治的な安定性・継続性に懸念が生じ始めた。リー首相もかねて引退を公言していた年齢である70歳となり、早急な次期首相の確定が必要となっていた情況下で、ダークホースとして台頭してきたのがウォンであった。

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