シンガポール「ポスト・リー・ファミリー」時代への転換

執筆者:久末亮一 2021年7月6日
タグ: 権威主義
エリア: アジア
混迷の度を深めている「ポスト・リー・シェンロン」(C)EPA=時事
かつて建国の父リー・クアンユーは、特異な権威主義・エリート主義的統治モデルを構築して、シンガポールを発展させた。 しかし今、「ポスト・リー・ファミリー」時代に向けた準備とあわせ、民主主義的統治への漸進的だが不可逆な変化が進んでいる。

 

過去になりつつある「明るい北朝鮮」

 かつて、シンガポールの「建国の父」リー・クアンユーは、ファシズム(全体主義)的手法をベースに特異な権威主義・エリート主義的統治モデルを構築して、シンガポールを発展させた。その統制的・強圧的な社会体制を揶揄する表現として、日本では「明るい北朝鮮」という表現が独り歩きしてきた。

 この表現自体、厳密な定義・検証を欠いたものであるが、2010年代以降の現実を鑑みれば、「明るい北朝鮮」と言われたシンガポールは、もはや過去になりつつある。政府も無視できなくなった国民の意識変化が原動力となり、「ポスト・リー・ファミリー」時代に向けた準備とあわせ、民主主義的統治への漸進的だが不可逆な変化が進んでいる。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
久末亮一 日本貿易振興機構(JETRO)アジア経済研究所 開発研究センター 企業・産業研究グループ 副主任研究員。学術博士(東京大学)。香港大学アジア研究センター客員研究員、東京大学大学院総合文化研究科助教、政策研究大学院大学安全保障・国際問題プログラム研究助手などを経て、2011年から現職。主な著書に『評伝 王増祥―台湾・日本・香港を生きた、ある華人実業家の近現代史』(勉誠出版、2008年)、『香港 「帝国の時代」のゲートウェイ』(名古屋大学出版会、2012年)、『転換期のシンガポール――「リー・クアンユー・モデル」から「未来の都市国家」へ』 (日本貿易振興機構アジア経済研究所、2021年)がある。
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