EUでハンガリー「オルバン政権」が築く反逆のモデル

執筆者:山本直 2021年7月7日
タグ: EU 権威主義
エリア: ヨーロッパ
なぜオルバン政権は権威主義化したのか(C)EPA=時事
「EUで唯一の権威主義国」との烙印を押されたオルバン政権下のハンガリー。反共のリーダーはなぜ権威主義化し、なぜ人々は彼を支持するのか。いくつか糸口が見えてきた。

 

 中・東欧にあるハンガリーがEU(欧州連合)の問題児とみなされて久しい。

 ハンガリーのオルバン・ビクトル首相(58)は、もとは反共のリーダーの一人だった。チェコのヴァーツラフ・ハベル(2011年、75歳没)やポーランドのレフ・ワレサ(77)より一世代ほど若い彼は、20代の青年期にソ連崩壊を経験し、フィデス=ハンガリー市民同盟(以下、フィデス)の党首となった。反共のリーダーが、必ずしも民主主義と自由主義を信奉するわけではないだろう。彼もまた、そうしたタイプの人物である。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
山本直(やまもとただし) 日本大学法学部教授。国際政治学、EU・ヨーロッパ研究。著書に『EU人権政策』(成文堂、2011年)、『EU共同体のゆくえ』(ミネルヴァ書房、2018年)、『欧州統合史』(共著、ミネルヴァ書房、2019年)、『EU欧州統合の現在』第4版(共著、創元社、2020)など。
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