経済安全保障と経済制裁:新たな国際経済秩序の「表裏一体の盾と矛」
2022年5月16日

最大の課題は自由貿易の原則や経済活動の自由とのバランス(参院本会議で経済安全保障推進法案の趣旨説明を行う小林鷹之経済安全保障担当相=4月13日) (C)時事
2022年4月7日に衆議院を通過した経済安全保障推進法案は、5月11日に参議院で可決された。衆議院では、経済安全保障の定義がなされていない、具体的な規制は政令で定めることになっており、明確な規制になっていない、といった批判を受けつつも、立憲民主党を含む野党の支持を得て通過した。
与野党とも経済安全保障の概念を受け入れ、その必要性を認識しているが、果たして、この経済安全保障が、今後の世界をどのように変えていくのか、また、同時に進行しているロシアのウクライナ侵攻に対する経済制裁とどのような関係にあるのか、十分に議論が尽くされたとは言いがたい。
ここでは、改めて経済安全保障とその推進法案に関する論点を整理し、具体的に法案がもたらす変化と、経済安全保障が作り出す新たな国際経済秩序がどのようなものになるのかを検討する。そのうえで、ロシアに限らず、これから経済的に他国に圧力をかける経済制裁という手段がどのように位置づけられるのかを検討してみたい。
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