ウクライナ北東部、ハルキウのガス圧縮施設(2014年8月撮影)(C)EPA=時事

 ロシアがウクライナに侵攻開始してから間もなく3カ月になる。この間、国際エネルギー情勢は地政学リスクとロシアのエネルギー供給に対する不安感で大揺れの状況が続いている。

   3月7日には原油価格が瞬間風速で130ドルを突破するなどの著しい急騰を示したが、その後は100~110ドル程度の高値圏での価格推移が続いている。欧州ガス価格は、原油高騰に合わせて一時は原油換算400ドル超の暴騰となったが、最近は同200ドル弱程度の推移が続いている。

「対ロ制裁」以外に加わる供給支障の2つの可能性

 価格高騰と市場不安定化の中心にあるのが、ロシアのエネルギー供給の先行きに関する不安感である。輸出シェアで石油11%、天然ガス25%、石炭18%を占めるロシアの輸出が市場から失われるのではないか、という読みに市場が反応しているのである。

 ウクライナ危機の経過において、ロシアのエネルギー輸出に何らかの支障・途絶が発生するとすれば、次の3つの可能性が考えられてきた。すなわち、①欧米日などによる対ロ制裁によってロシアのエネルギー取引に制約が生じる、②戦時下で輸出インフラに損傷が発生する、あるいは操業困難となる、③ロシアが自ら輸出を削減・停止する、の3つである。

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