「不介入」でありながら影響力を行使するアメリカの対ウクライナ関与は、アフガニスタンの場合のような「介入」との葛藤が思想的背景にあった(写真は5月23日、ダボス会議でオンライン演説するゼレンスキー大統領)(C)AFP=時事

 中山俊宏・慶應義塾大学総合政策学部教授(2022年5月1日死去)と私との最後の仕事は、国際問題研究所の刊行する『国際問題』への寄稿であった。同誌の編集委員を務めておられた中山教授は、アフガニスタンからのアメリカ軍の撤退と、それに伴う共和国政府の崩壊を目のあたりにして、「国家建設」をテーマにした特集号を企画された。この特集号に私が寄稿することになったのであった。中山教授と、事前に問題意識を共有する会話をしたことが懐かしい。

 アメリカ外交を専門にする中山教授が、アメリカのアフガニスタンへの関与に大きな関心を持っていたことは自然だろう。中山教授の関心は、アメリカの軍事介入を裏付ける思想的問題にも注がれていた。その部分で、私の専門領域とも大きく関わっていた。たとえばむしろ私などよりも強く、アメリカのミャンマーにおけるクーデターへの対応について、「保護する責任」論の観点からも見守ろうとしていたのが、中山教授であった。

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