省庁改革には首相の強いリーダーシップが求められる(C)時事

 

「幼保一元化」への族議員の反発

 岸田文雄政権では、新たな組織を先行的に作るものの中途半端な制度設計が目立ち、当初描いた構想の実現が難しいようなケースが目立つ。

「こども家庭庁」はその典型的な例だ。     

 当初は複数の省庁にまたがる子供政策を一元的に管理することを目指し、幼少から成人まで切れ目なくサポートする体制を整えることで、少子化対策につなげようとしていた。

 しかし、焦点だった「幼保一元化」の完全実現に失敗した。現在、教育機関と位置付ける幼稚園は文部科学省、子どもを預かる場と定義する保育所は厚生労働省、双方の特性を生かす認定こども園は内閣府が所管する。関連法案の策定過程では、これらを一括してこども家庭庁に移すことを検討したが、自民党内の議論では、3省庁に関連する族議員が激しい攻防を展開。特に文科省に根を張る文教族議員が徹底抗戦し、最終的に幼稚園の所管は現状維持となった。

 もともと、自民では菅義偉前首相に直談判した山田太郎参院議員や自見英子厚生労働政務官ら若手議員が制度設計を進めたが、丹羽秀樹元文部科学副大臣ら文教族が文科省の担当領域を守るため徹底的に抵抗。引退したはずの森喜朗元首相や伊吹文明元衆院議長ら重鎮の意向も踏まえたという見方もある。文科相経験者の松野博一官房長官も慎重だったという。

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