ドイツ左派「緑の党」がウクライナ武器支援と「平和主義」を両立する論理
2022年6月7日
2022年2月24日のロシア、ウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵略は、ヨーロッパの安全保障をめぐる状況を一変させた。中でも、ヨーロッパの基軸国ドイツは、それまでの安全保障政策の抜本的見直しを迫られた。
すでにドイツ外交のこの「歴史的転換」については、様々なところで紹介されている。その内容を要約すれば次のような点である。
①ドイツ軍の装備を最新鋭にするための資金として1000億ユーロ(約14兆円)の「特別財産」を設ける②北大西洋条約機構(NATO)加盟国の公約となっていた国防費GDP比2%以上の支出を今年から実行に移す③ウクライナに対する重火器を含む武器供与④「ノルドストリーム2」(ロシアとドイツを結ぶバルト海の海底天然ガスパイプライン。ロシアに収益をもたらすとして批判されていた)事業の停止――などである。
つまり、これまでの、対話を基調とする多国間主義一辺倒だった外交に、軍事力に基づく抑止の要素を復活させ、とりわけロシアに対してはエネルギー面での依存を減らし、宥和外交からの脱却を目指すものである。
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