正念場を迎えたベネット氏(C)EPA=時事
 

 イスラエルのナフタリ・ベネット政権が6月13日の発足1年を前に、崩壊の危機に瀕している。昨年6月、連立不成立による3回の総選挙の末に発足したベネット政権は、12年間政権を維持した右派のベンヤミン・ネタニヤフ政権を打倒するために右派や左派、アラブ系政党など8党が連立してできた「寄り合い所帯」。各党はパレスチナや入植地を巡る政策で対立しながらも妥協を続けてきたが、ここへきて議員に政権離脱の動きが見えてきた。 多くの地元メディアは「政権は数週間以内に崩壊するだろう」と予測する。イスラエル政界の動きは、中東地域にどう影響を及ぼすのだろうか。

1人の離脱で過半数割れ

「これ以上、ユダヤ人のアイデンティティーを傷つけることはできない」。ベネット首相率いる極右政党「ヤミナ」のイディト・シルマン議員は4月6日、政権が「反ユダヤ政策」を執行しているとして離脱を発表した。5月19日には、左派与党「メレツ」のアイダ・リナウィゾアビ議員が、政権のパレスチナ人に対する「好戦的な姿勢」に耐えられないとして、離脱を表明。政権側の説得によって現在のところ離脱は保留しているが、他にも複数の議員が離脱を示唆している。

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