マイクロチップの出所は?(C)Reuter

 

[ロンドン発(ロイター)]ウクライナの戦略拠点やアパートに撃ち込まれたロシアのミサイルの焼け焦げた残骸を調べる専門家たちが、そろって報告することがある。マイクロチップの製造メーカー名や製品番号が丁寧に削り取られていることだ。出所がわからないようにするための措置である。

 100日以上の月日を重ねたロシアによるウクライナ侵攻は、産業、経済、そしてサプライチェーンのグローバル化の道に光をあてると同時に脅かしてもいる。その道は、今世紀に入ってからほとんど誰も疑うことなく進んできたものだが、今、グローバル化は冷く野蛮な向かい風に直面している。

 すでに、ウクライナ戦争は世界的な食糧と燃料の供給を大混乱させ、西側諸国によるロシア制裁を受けて名だたるグローバル企業がロシアとの取り引きを停止。ロシアとNATO(北大西洋条約機構)諸国は切迫する世界的食糧危機について非難の応酬を行っている。そんななか、現代テクノロジーの核心であるマイクロチップをめぐる競争もさらに激しくなっている。

 ある意味、これは新型コロナワクチンの開発競争でも見られたことで、事態はさらに先鋭化している。主要国と経済ブロックは、この数十年の間に進めてきたグローバルな供給ネットワークへの過度な依存から、信頼できる供給国との限定的な関係に方針を転換しつつあるように見える。これはこれで、新たな問題と独自の難しさをはらむものだ。

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