6月7日に行われたリアム海軍基地の拡張工事着工式(C)AFP=時事

 

 2022年6月10~12日に、第19回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)が開催された。英国のシンクタンク・国際戦略研究所(IISS)が、2002年からシンガポールのシャングリラ・ホテルで主催する同会議は、各国の国防相クラスの高官が地域の安全保障について意見を表明する場として定着している。

 そうした中で、今回、静かな争点となったのが、中国の関与が取りざたされているカンボジアのリアム海軍基地の動向であった。

 同基地は、2010年から米海軍と東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国との2カ国間共同訓練「協力海上即応訓練(CARAT)」のカンボジアでの拠点として機能してきた。

 ところが、2019年7月に米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が、中国が同年春にインフラ支援の見返りとして同基地の一部を30年間排他的(独占的)に使用することにカンボジアと秘密裏に合意したと報じた。

 翌2020年10月には、米国のシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)が、同基地に米国が設置した施設が解体されたことを示す衛星写真を公開し、さらに2022年6月6日にワシントン・ポスト紙が、匿名の米中両政府関係筋の話として、同基地の北部に中国が軍事施設を秘密裏に建設していると報じた。

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