6月14日、北朝鮮の豊渓里核実験場にある西側坑道付近を撮影した衛星写真[CSIS/Beyond Parallel (C)Airbus DS 2022提供](C)時事

 党中央委総会拡大会議の結果を伝えた「報道」は、北朝鮮の置かれた現状を「未曽有の国難」、「未曽有の厳しい試練」、「未曽有の厳しくて困難な時期」、「類例のない国難」という表現で強調した。

人口の2割がコロナ感染、中朝貿易は4月の「5分の1」に

 これまで述べてきた大規模な人事も、このままでは直面している「未曽有の国難」に打ち勝つことができないという判断があり、実務型、統制強化型の人材を多く起用している。一度処分を受けた朴泰成(パク・テソン)氏、金頭日(キム・ドゥイル)氏の再起用や、鄭京択(チョン・ギョンテク)前国家保衛相のような秘密警察による統制を担当してきた人物の、軍の統制を担当する軍総政治局長への起用などがそれを物語る。

 では北朝鮮が置かれた現状はどんなものであろうか。新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年は経済制裁、新型コロナ、水害による「3重苦」に襲われていると言われた。

 だが、北朝鮮は国境を封鎖し、住民への統制を強化することでコロナの感染をある程度の範囲内に抑え込むことに成功していたとみられた。一方、2021年の中朝貿易は貿易総額が約3億1804万ドルで、コロナで国境を閉鎖する前の、2019年の11%にまで落ち込んだ。中国からの輸入額は前年比47%減の約2億6017万ドルで、2019年と比較すると90%減、中国への輸出額は前年比21%増の約5787万ドルだったが、2019年比では73%減だった。

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