2021年に北朝鮮が盗み出した数千万ドル相当の仮想通貨は、この数週間で80%から85%下落したとみられる   (C)REUTERS/Dado Ruvic

[ソウル発(ロイター)]暗号資産(仮想通貨)市場の暴落によって、北朝鮮のハッカー集団が盗んできた何百万ドルもの資産が飛んだ、とデジタル業界に詳しい4人の調査員が証言した。制裁下にある北朝鮮にとっては貴重な資金源が脅かされる事態だ。仮想通貨の現金化が悩ましい問題となるばかりか、兵器開発の資金計画にも影響が及ぶだろう、と韓国政府筋2人が匿名を条件に語った。

 仮想通貨の突然の下落が始まったのは今年5月。世界的な経済失速の中での株価下落が波及した。ビットコインは今年に入って54%も下落し、その他の仮想通貨も同様の打撃を受けている。

   北朝鮮が過去に手に入れ、未だロンダリングしていない保有暗号資産は、今年頭の時点での1億7000万ドル(約221億円)から6500万ドル(約84億5000万円)まで目減りした、とニューヨークに拠点を置くブロックチェーン分析会社チェイナリシスは言う。この中には、北朝鮮が2017年から2021年にかけて49回のハッキングで盗んだものも含まれている。別の米ブロックチェーン分析会社TRM Labs のニック・カールセンによれば、2021年に北朝鮮が盗み出した仮想通貨は数千万ドル相当だったが、この数週間で80%から85%下落し、今では1000万ドルにも満たないという。

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