そのニュースに日本の金融市場参加者も凍り付いた。参院選の最終盤を迎えた7月8日、安倍晋三元首相が遊説先の奈良市で狙撃され、命を亡くした。狙撃の報が伝わった同日正午過ぎ、株式市場は昼休みを終えたばかりだった。午前の取引で2万7000円近くまで戻していた日経平均株価は、午後の取引でいっぺんに勢いを失った。狙撃のニュースがショッキングだったばかりでない。
市場参加者が思いを巡らしたのは、アベノミクスの大黒柱である大規模な金融緩和の行方だった。岸田文雄政権になっても、安倍元首相は経済政策で大きな存在感を発揮していた。安倍元首相が銃弾に倒れた結果として、政策の力点が変わるかもしれない。端的にいえば、岸田政策が路線を修正し、金融緩和の微調整に動く可能性が出てきた。投資家たちはそうみて、条件反射的に日本株を売ったのである。
もちろん、日本株は日本だけの要因で動くのではない。世界全体でいまマーケットにきな臭い空気が漂っている。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。