集合写真に納まる岸田文雄首相とG7の首脳ら(ドイツ・エルマウ)(C)EPA=時事

 

「ヒロイズム」から「戦争の真の顔」が現れる季節へ

 エルマウからマドリッドへと続いたG7とNATOの首脳会議は、2022年の前半の終わりを告げる花火のような数日であった。

 まずドイツ南部の保養地シュロス・エルマウでG7サミットが行われ、続いてマドリッドでNATO首脳会議が行われた。この2つは、国際法違反のウクライナ侵略を行ったロシアと、それを支援して恥じるところのない中国という圧政国家群に対して、自由主義諸国が団結を示す場であった。そして、参集したリーダーたちは、とにもかくにも、団結を示して一同笑顔で集合写真に納まることができた。

 心配されたトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領も、フィンランド、スウェーデンのNATO加盟への反対の旗をサミット開始直前に下ろし、お祭りムードを盛り上げるのに一役買った。

 今年前半は、現代史上稀なヒロイズムの季節であった。ロシアによる侵攻の直後から、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が見せた指導力は、素晴らしかった。彼が戦争開始後にキーウに踏みとどまらなければ、事態は全く違う方向へ向かっていだろう。

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