ロシア・ウクライナ戦争は遺伝子組み換え小麦にとって商機となるのか(C) REUTERS/Edgar Su
 

[ロンドン発(ロイター)]アルゼンチンの農業バイオテクノロジー企業「バイオセレス・クロップ・ソリューションズ」が、オーストラリアで干魃に強い遺伝子組み換え小麦の栽培試験を実施する予定だ。同社のフェデリコ・トルッコ最高経営責任者(CEO)によれば、2024年にも作付け承認を得たい考えだという。

 バイオセレス社は遺伝子組み換え小麦の開発を推進するリーディングカンパニーで、ロシア・ウクライナ戦争による食糧価格高騰と異常気象で世界的な食糧不足のリスクが高まる中、消費者の遺伝子組み換え(GMO)小麦への抵抗感が減ると期待を寄せる。

 トルッコ氏は、「ロシアが小麦の主要産地であるウクライナに侵攻したことは、世界の食糧供給問題を現実的に考えるきっかけとなり、農家や消費者からの反発に直面している遺伝子組み換え小麦にとってはイメージ回復のチャンス」と指摘し、こう続けた。「ロシアによる侵攻前とは状況が変わった。今や小麦は話題の中心にある」。

 オーストラリアでは、5月にバイオセレス社の遺伝子組み換え小麦を使った食品の販売が認められたが、干魃に耐性がある遺伝子組み換え小麦「HB4」の商用栽培を認めているのはアルゼンチンのみ。ブラジルはサバンナ地帯「セラード」でHB4の試験栽培を行っている。

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