道化師ボリス・ジョンソンを笑えなくなったイギリス社会(上)
2022年7月21日
ウクライナ南部オデッサ近郊のフォンタンカは、黒海に面した風光明媚な街である。その一角、ソ連時代のロシア人詩人の名を冠したマヤコフスキー通りは、さして注目されることもない住宅街の裏道だった。今年4月、その名称が変更されるまでは――。
「ボリス・ジョンソン通り」
ロシア軍の侵攻後の首都キーウを真っ先に訪問し、ウクライナへの武器供与の呼びかけ役を務めた英首相への恩を、ウクライナ人は忘れていない。7月には、オデッサ市がジョンソンに名誉市民の称号を授与すると公表した。
幅広く世論調査を展開する英国のアシュクロフト卿が6月28日に公表したウクライナ世論調査によると、政治家としての人気は、自国の大統領ウォロディミル・ゼレンスキーの93%に次いで、英首相ボリス・ジョンソンが90%の支持を得た。
しかし、7月7日に辞意を表明したジョンソンに対し、英国内の評価は散々である。3年間の治世の成果は大いに疑問視され、パフォーマンス過多の政治スタイルへの批判も厳しい。
ウクライナを巡る活躍ぶりは、彼の在任中唯一の実績と見なされかねない様相である。
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