道化師ボリス・ジョンソンを笑えなくなったイギリス社会(上)

執筆者:国末憲人 2022年7月21日
エリア: ヨーロッパ
ボリス・ジョンソンとは何者だったのか(C)AFP=時事
 
ブレグジッドをめぐる狂乱の中で現れた道化師は、冷笑に包まれながら舞台を去ることになった。一体ボリス・ジョンソンンとは何者だったのか。筆者はポピュリストでありリアリストでもある「ポピュラリスト」であるという。(こちらの後編へ続きます)

 ウクライナ南部オデッサ近郊のフォンタンカは、黒海に面した風光明媚な街である。その一角、ソ連時代のロシア人詩人の名を冠したマヤコフスキー通りは、さして注目されることもない住宅街の裏道だった。今年4月、その名称が変更されるまでは――。

「ボリス・ジョンソン通り」

 ロシア軍の侵攻後の首都キーウを真っ先に訪問し、ウクライナへの武器供与の呼びかけ役を務めた英首相への恩を、ウクライナ人は忘れていない。7月には、オデッサ市がジョンソンに名誉市民の称号を授与すると公表した。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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