道化師ボリス・ジョンソンを笑えなくなったイギリス社会(下)

執筆者:国末憲人 2022年7月21日
決選投票に進んだスナク前財務相とトラス外相(C)AFP=時事
道化師が去った舞台で再び政治ショーが始まった。次期首相を決める保守党党首選はスナク前財務相とトラス外相が9月の決選投票に進むことになったが、ジョンソン首相も復権を狙っているという。(こちらの前編へ続きます)

 

 英国を代表する憲法学者でオックスフォード大学名誉教授のヴァーノン・ボグダナーも、ボリス・ジョンソンにポピュリズムを見る。『テレグラフ』紙への寄稿で、彼はジョンソンを「ポスト2008年政治の産物」と位置づけた。

 2008年は、リーマン・ショックに端を発した世界金融危機の年である。新自由主義と市場万能の発想が生んだこの危機の後には、社会民主主義の時代が到来すると、当初は予想された。しかし、ふたを開けると、実際に台頭したのは社会民主主義ではなく、ナショナリズムとポピュリズムであった。「理念」(アイデア)の政治から「アイデンティティー」の政治への転換が起きたのである。

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執筆者プロフィール
国末憲人 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長を経て、現在は朝日新聞ヨーロッパ総局長。著書に『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)など多数。新著に『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)がある。
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