プーチン(左)ゼレンスキー(右)両大統領がサインに臨める和平合意はどのようなものになるのか (C)AFP=時事

篠田英朗:私は開戦時から、軍事専門家はウクライナの敗北は不可避だと言い、歴史家はロシアの敗北は不可避だと言っているが、双方が正しいように見える、と言ってきています。

歴史的には“ロシアの敗北は不可避”

 侵攻当初から、軍事評論家の見立ては“ウクライナの敗北は不可避”です。ウクライナが戦場で局地的な成果を出した、持ち直したと言っても、総合的な国力と大量破壊兵器の存在を考えれば、ウクライナは決定的な勝利の手段を欠いている。

 それどころか、戦闘は全部ウクライナ領域内で行われているから、人的なことも含めて、破壊されているのはすべてウクライナ側の資源なわけです。

千々和泰明:そうですね。優勢側の視点で見るとすると、それはロシア側ということになってしまいます。

篠田:もちろん“敗北は不可避”と言っても、ウクライナの頑張り次第で、敗北の決定的な最終ポイントを先送りにすることはできるかもしれない。5年10年と先送りすることも可能かもしれないけれども、逆にウクライナの完全勝利という瞬間を作るというのは、ちょっと想定できないぐらいに難しい。

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