更なるコスト削減が行われるべき再エネに「最低供給価格」が設けられようとしている[ベルギー沖の洋上風力発電=2022年9月30日](C)AFP=時事

「この入札ルール変更は、特定の事業者を勝たせるための政治的な出来レース。わが社は参加しても資源の無駄遣いになるだけなので、ボイコットを検討している」――。筆者にこう企業秘密を打ち明けたのは、電力業界では知らぬ人のない複数の大手企業だ。

“国策”カーボンニュートラル(脱炭素)の切り札、洋上風力発電の振興に今、暗雲が立ち込めている。暗雲は、新事業の開拓に本腰を入れようとしていた大手電力会社や総合商社、欧州系の風力発電機メーカーの事業意欲を削ぐだけではない。より身近な問題として、家計と一般企業が支払う電気料金のさらなる高騰を招きかねないというリスクもはらんでいる。

 待ったをかける最後のチャンスと言うべき政府・経済産業省のパブリックコメントは、まさにいま実施中だ(7月14日~8月13日)。「ゾンビ企業が栄えて国滅ぶ」という事態になりかねない政策変更の実態をリポートしておきたい。

圧勝した三菱商事コンソーシアム

 まずは、背景と現状を紹介しよう。

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