国連、ウクライナ、ロシア、トルコによる穀物輸出再開交渉(写真=トルコ国防省提供)は7月22日に合意したが、ロシアは翌日オデッサ港をミサイル攻撃した。合意をいかに保障するかがカギ (C)AFP=時事

 ロシア・ウクライナ戦争について、このところ「年内に終結」という趣旨の発言が、ウクライナ政府高官から繰り返し発信されてきている。

 これには、「まだ半年は戦争を続ける」という意味がある。欧米諸国からの兵器供給を受けているウクライナ政府には、今年の後半に戦況を改善する見込みがある、ということだろう。他方、「半年もやれば戦争は終わる」というメッセージには、当面の兵器供給を受けたその後に劇的な改善は見込めないかもしれない、という含意を見ることもできる。

 巷では、ウクライナがどこまで領土の回復を目指すか、あるいは領土の割譲を認めるか、という言説ばかりが流通している。まるでウクライナの目標設定によって戦争の終結の仕方が決定されることが自明の前提であるかのようだ。ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官のような領土の割譲など述べていない人物の言葉を、あたかも“領土の割譲を言った”と解釈してしまう風潮も顕著だ。いずれも的外れである。

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