「平和構築」最前線を考える (43)

ロシア・ウクライナ戦争:「領土問題が終結のカギ」はなぜ間違いか

執筆者:篠田英朗 2022年7月26日
エリア: 北米 ヨーロッパ
国連、ウクライナ、ロシア、トルコによる穀物輸出再開交渉(写真=トルコ国防省提供)は7月22日に合意したが、ロシアは翌日オデッサ港をミサイル攻撃した。合意をいかに保障するかがカギ (C)AFP=時事
将来に亘ってロシアの侵略を防ぐことが重要なウクライナにとって、領土割譲で戦争に決着がつくとの声ほど的外れなものはない。必要なのは「ウクライナの個別的自衛権を行使する実力」による抑止を、NATO構成諸国はじめ国際社会が保障する体制だ。

 ロシア・ウクライナ戦争について、このところ「年内に終結」という趣旨の発言が、ウクライナ政府高官から繰り返し発信されてきている。

 これには、「まだ半年は戦争を続ける」という意味がある。欧米諸国からの兵器供給を受けているウクライナ政府には、今年の後半に戦況を改善する見込みがある、ということだろう。他方、「半年もやれば戦争は終わる」というメッセージには、当面の兵器供給を受けたその後に劇的な改善は見込めないかもしれない、という含意を見ることもできる。

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カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
篠田英朗 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1968年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、同大学大学院政治学研究科修士課程、ロンドン大学(LSE)国際関係学部博士課程修了。国際関係学博士(Ph.D.)。国際政治学、平和構築論が専門。学生時代より難民救援活動に従事し、クルド難民(イラン)、ソマリア難民(ジブチ)への緊急援助のための短期ボランティアとして派遣された経験を持つ。日本政府から派遣されて、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)で投票所責任者として勤務。ロンドン大学およびキール大学非常勤講師、広島大学平和科学研究センター助手、助教授、准教授を経て、2013年から現職。2007年より外務省委託「平和構築人材育成事業」/「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」を、実施団体責任者として指揮。著書に『平和構築と法の支配』(創文社、大佛次郎論壇賞受賞)、『「国家主権」という思想』(勁草書房、サントリー学芸賞受賞)、『集団的自衛権の思想史―憲法九条と日米安保』(風行社、読売・吉野作造賞受賞)、『平和構築入門』、『ほんとうの憲法』(いずれもちくま新書)、『憲法学の病』(新潮新書)など多数。
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