シーシー政権下で起きている人権侵害リスト(C)REUTERS
 

[カイロ発(ロイター)]エジプトが近く全土的な政治対話を開始する計画だ。過去最悪とも言われる反体制派への弾圧の手を緩めるのか、政府は試されることになる。

 国軍総司令官から大統領になったアブドルファッターフ・アッ=シーシーは、2013年にムハンマド・ムルシー大統領――近代エジプトで初めて民主的に選ばれた大統領――を大衆の大規模抗議集会の末に放逐して以来、強権の度を深めてきた。シーシー政権は、弾圧の標的は国家の弱体化を目論むテロリストや妨害者だと言う。政府は恣意的で超法規的な殺害や拷問、強制隔離などには関与していないと言うものの、以下に列挙するのは、米国の同盟国であるエジプトで実際に起きた人権侵害の恐れがあるケースだ。

血のカイロ座り込み事件

 2013年にムルシーが大統領の座から追われると、ムルシーの出身母体であるムスリム同胞団――エジプト最古で最大のイスラム運動組織――の支持者が何百人も殺害され、何千人も逮捕された。ムスリム同胞団の幹部たちは人権団体が不公正だと非難する裁判によって死刑を宣告され、その他の多くが地下に潜るか、国外脱出した。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。