シンガポール「脱炭素」化を支える東南アジア「国際送電網」
2022年8月11日
ラオスから水力発電電力を輸入
6月23日、シンガポールがラオスから水力発電による電力を輸入した。シンガポール、マレーシア、タイ、ラオスの4カ国で結ばれた「相互電力統合プロジェクト」に沿って、ラオスで水力発電した最大100メガワット(MW)の電力を、タイやマレーシアの国際送電網を通じて輸入したもので、シンガポールが国外の再生可能エネルギー発電による電力を輸入した初のケースとなる。
今回の輸入は、シンガポールの大手企業集団ケッペル・グループの関連会社が手掛けた。この他にもシンガポールでは、マレーシア系企業集団YTLの子会社によるマレー半島からの最大100MW規模の再生可能エネルギー発電電力、地場系電力会社パシフィック・ライトパワー主導によるインドネシア・ブラン島からの最大100MW規模の太陽光発電電力、地場系民間企業サンシープのインドネシア・バタム島沖からの世界最大規模2.2ギガワット(GW)浮遊式太陽光発電電力の輸入計画が明らかになっている。
シンガポールでは長らく、電力供給は安全保障上の観点から国内での発電を主体としており、国際送電網への接続と電力輸入には保守的であった。しかし近年、これが変化した背景には、国内での脱炭素社会の実現という目標と、東南アジア域内での電力輸出入の進展という、2つの要因がある。
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