タリバン復権「1周年」を祝うタリバン支持者たち(C)EPA=時事

 

 2022年7月31日午前6時18分、アフガニスタンの首都カブール市中心部で、アメリカのドローン攻撃によって、国際テロ組織「アルカイダ」のアイマン・ザワヒリ最高指導者が殺害された。アメリカ国防総省の発表によると、爆発する弾頭を用いず6枚の刃が標的を捉える空対地ミサイル「ヘルファイヤ」が使用された。殺害されたのは居宅のバルコニーにいたザワヒリ本人のみで、同居家族や民間人の巻き添え被害は確認されていない。 

 アルカイダと聞けば、2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件の首謀者としてのイメージが強いが、近年、私たちがその名前を耳にすることは少なくなっていた。今回の事件は、私たちの生活に一体どのような影響を及ぼすのだろうか。 

 本稿では、今回の事件が、①タリバンと国際社会との関係、②タリバン内部、および、③アルカイダの活動に与える影響について多角的に分析したい。 

事の発端は米ドローンの目撃証言 

 事の発端は、ラフマトッラー・ナビール元国家保安局長官が7月31日昼頃、アメリカのドローンがカブール上空で目撃されたとツイートしたことだった。この時、攻撃の標的は「イスラーム国」ではないかと推測されていたが、真相は不明だった。 

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。