北戴河駅ではボランティアを名乗る男性たちがメディア関係者を制止する光景が見られた[8月4日](C)時事

 中国共産党は、実質、政治局常務委員会が牛耳っている。習近平以下、7名の常務委員がいるが、8月1日から15日まで彼ら全員が中国の公式報道から姿を消した。そこで世界のチャイナ・ウオッチャーたちは、彼らが避暑地として有名な河北省秦皇島市の北戴河に向かい、何らかの集まりに参加し、それが15日までに終了したと推測した。

   確かに中国の指導者たちが北戴河に来て避暑をする習慣は変わっていない。しかも北戴河には現役を離れた長老たちも来る。近くにいれば顔を合わせる。なじみの顔に出会えばついつい話し込む。正式の会議が開かれなくても意思疎通ははかれるし、コンセンサスに至らなくとも党指導部の流れはできる。北戴河は、そういう場所として利用されてきた。

 筆者も、1980年代の初め、他に娯楽というものがあまりなかった北京勤務のときに、家族連れで大使館が借り上げた北戴河の別荘でもう1組の家族と数日過ごした経験がある。すぐ近くに海辺があり、子供たちが大喜びしたのを覚えている。木立の中にある別荘はそれぞれ独立しているが、お互いに行き来することはできる。われわれの地区から要人地区に行くことは難しかったが、要人地区では要人たちが散歩のついでに訪れたり、親しい家族同士で食事を共にしたりしていたことだろう。

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