記者会見で辞職の意向を示した中村格警察庁長官=25日(C)時事

   警察庁の中村格長官(59歳/1986年入庁)が25日、安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件の責任を取る形で辞任を表明した。事実上の引責辞任だ。

   事件を防げなかった奈良県警の警備は、「ザル状態のおそまつなもの」(警察庁警備関係者)だっただけに、辞任が遅いという指摘は以前からあった。また中村氏自身、安倍氏秘書の息子がゲームセンターで起こしたケンカに警視庁捜査一課を投入したともいわれる“忖度”ぶりで、「長官まで引き上げてもらった恩義がある安倍さんが凶弾に倒れたのだから、即刻辞任すべきだ」(警察庁 OB)という声もあった。

   これに対して中村氏は、事件後の会見で「長官としての責任は誠に重いと考えている」としつつも、「今の段階で私が果たすべき責任は検証と見直しに全身全霊をそそぐことだ」と述べ、長官のポストに残っていた。この日、国家公安委員会に対して警護の検証結果を報告したことから、同委員会に辞職を願い出たという。記者会見では「私ども警察は、警護を一から出直そうと考えた。そのためには新たな体制で警護に臨むべきと考えた」と説明している。

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